施政方針(令和4年 第1回石岡市議会定例会)

令和4年第1回石岡市議会定例会の開会にあたり、令和4年度の市政運営に対する所信を申し上げ、議員の皆様並びに市民の皆様のご理解とご賛同を賜りたいと存じます。

 

はじめに

世界的な広がりを見せた新型コロナウイルスは、令和3年度においても猛威を振るい、今また、新たな変異株による感染が急拡大し、第6波への対応が続いております。未だ終息の兆しが見えない中、長期にわたり感染拡大防止にご協力いただいている市民の皆様に、心から感謝を申し上げます。
また、新型コロナ対応の最前線で治療や看護等に当たられている、医療従事者をはじめ、エッセンシャルワーカーの皆様に、心から敬意を表します。

私は、「共生・共育・共働」の方針のもと、引き続き、新型コロナ対応を最優先課題として市政運営に取り組んでまいりました。新型コロナワクチン接種、高齢者等へのPCR検査、新生児・子育て世帯等への支援、プレミアム付商品券の発行、キャッシュレス決済ポイント還元、市内事業者の事業継続や時短営業への支援など、このコロナ禍において、市民生活を守り、地域経済を維持するための取組を、県や関係機関と連携を図りながら展開してきたところであります。
一方、コロナ禍で各種事業が制限される中においても、様々な対策を講じながら、着実に事業に取り組んでまいりました。市の観光の拠点である「いばらきフラワーパーク」のリニューアルと、それに併設する新たな宿泊施設「花やさと山」のオープン。八郷総合支所の有効活用に伴い整備した「郷の本棚やさと図書館」は、令和4年4月オープンを予定しており、新たな生涯学習の場として多くの市民に利用されるものと期待しております。また、ドクターヘリのランデブーポイントを備えた新たな愛郷橋出張所を整備し、消防・救急体制の強化を図りました。さらに、石岡駅周辺整備においては、西口交流施設やBRT専用駅前広場の整備が着々と進んでおります。

この未だ先行き不透明な状況の中、令和4年度においても、新型コロナへの対応を最優先課題として市政運営に取り組んでまいります。何よりも、市民の命と暮らしを第一に、安全安心な市民生活と地域経済活動の維持のため、3回目のワクチン接種の迅速化を含めた感染防止対策の継続や、効果的な経済支援など、切れ目のない取組に注力してまいります。
そして、市民や事業者の皆様をはじめ、あらゆる世代の皆様と行政が一丸となり、「オール石岡」でこの難局を乗り越え、共に持続可能なまちづくりを進めてまいりたいと思います。

 

市を取り巻く現状

我が国の経済情勢は、長引く新型コロナウイルス感染症の影響下にあり、持ち直しの兆しは見られるものの、引き続き、変異株等による感染症の動向や国内外の経済に与える影響を注視していく必要があるとされております。
県内の景気についても、同様に、感染症の影響からサービス消費を中心に厳しい状態にありますが、基調としては、持ち直しているとの見方がされております。雇用情勢に目を向けますと、昨年12月における有効求人倍率は、茨城県において前年同月比0.14ポイント増の1.49倍、石岡市にあっては、前年同月比で0.16ポイント増の1.16倍と改善がみられます。ただし、改善の動きが弱いことからも、今後の感染症による影響が懸念されるところであります。

次に、本市の人口の推移でございます。
本市の人口は、令和2年10月1日国勢調査で73,061人です。前回、平成27年国勢調査が76,020人ですので、2,959人の減少となっております。近年、社会動態に改善の傾向はみられるものの、全体としては、依然、減少傾向が続いております。特に20代の若者が転出超過の傾向にあり、高齢化率を高める一因となっております。

 

石岡市総合計画

平成24年度にまちづくりの将来構想として策定した「石岡かがやきビジョン」が、10年目の終期を迎えます。この間、東日本大震災の経験を踏まえた自然災害への備え、SDGsに向けた取組の重要性、気候変動問題への対応、AIの進歩による社会構造の変化、そして新型コロナウイルス感染症への対応など、本市を取り巻く社会情勢は、大きく変化しております。同時に、市民の価値観や行政サービスへの需要も多様化・高度化しております。
このような状況を踏まえた中で、未来につながるまちづくりを進めるための指針となる、新たな総合計画を策定いたしました。その基本構想について、今期定例会にお示ししているところでございます。

新たな総合計画は、本市が10年後に目指すべき将来像を「誰もが輝く未来へ共に創る石岡市」と定め、その実現のため「安全・安心」、「魅力・発信」、「対話・学び」を基本理念とし、SDGsの視点を取り入れた政策目標を掲げた「基本構想」と、その政策目標の達成のための具体的施策と成果指標を定めた、市長任期連動型の「第1期基本計画」で構成しております。
本総合計画に基づき、多様な社会情勢の変化に柔軟に対応しながら、誰一人取り残さない持続可能な社会の実現への取組を、様々な主体で共有し、共にまちづくりを進めていくことで、誰もがあらゆるライフステージで輝く未来を描くことができるまちを目指してまいります。

 

リーディングプロジェクト

新たな総合計画では、基本構想に掲げる政策目標を「輝く魅力向上」、「輝くまち」、「輝くひと」、「輝く暮らし」の4つの分野に束ね、それぞれの分野ごとに施策展開をリードする事業をリーディングプロジェクトと位置付け、迅速かつ効果的に取り組んでまいります。
令和4年度は、これら4つの分野における主要事業と、継続して取り組む新型コロナへの対応、さらに、すべての施策に共通する行財政改革の視点を踏まえた取組をリーディングプロジェクトとして設定し、スピード感をもって事業を推進してまいります。

はじめに、新型コロナウイルス感染症対策プロジェクトであります。
新型コロナウイルスの感染拡大が長期化する中、引き続き、市民生活を守り、強靭な地域経済を構築するための施策を展開してまいります。
新型コロナウイルス感染症の発症や重症化を予防するため、ワクチン接種を継続して実施してまいります。感染の急拡大している現状も踏まえ、3回目のワクチン接種を迅速に実施できる体制と、市民が安心して接種できる環境を整え、感染拡大防止を図ってまいります。
また、国の令和3年度補正予算を受け、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用した対策事業を取りまとめ、感染症に強い持続可能なまちを目指し、更なる施策を推進してまいります。

次に、「輝く『魅力向上』プロジェクト」であります。1つ目として、情報発信の強化です。
市ホームページを利用者のニーズやトレンドを踏まえ、誰もが使いやすいものへリニューアルいたします。また、現在、情報発信手段として活用しているメルマガ、TwitterやFacebookなどのSNSに加え、全国的にも広く利用されているプッシュ型コミュニケーションツール「LINE」を新たに導入し、市民と共に更なる市の魅力を発信できる体制を構築してまいります。
これに加え、市民協働の視点を含めたシティプロモーションの指針を策定し、市民と行政が共に市の魅力をより広く、より強く発信するとともに、石岡市のロゴマークの考案や戦略的な情報発信を行うことで、シビックプライドの醸成と移住定住の促進に繋げてまいります。
2つ目として、観光資源の魅力向上です。
昨年にリニューアルオープンした観光拠点「いばらきフラワーパーク」と「花やさと山」の魅力を最大限に活かして、周遊観光へと繋げる施策を展開し、来訪者が本市の観光資源に数多く触れ、魅力を感じていただくことで、更なる関係人口の増加と地域振興を図ってまいります。
また、観光案内所における観光案内デジタルサイネージの多言語への対応と、外国語対応スタッフを配置することにより、インバウンド対応の強化と観光客の誘致、広域周遊観光へと繋げてまいります。
当市に数多くある史跡や歴史的文化財は、歴史的な価値はもちろん、重要な観光資源でもあることから、それらを保存活用するため「文化財保存活用地域計画」を策定し、国の認定を目指すとともに、無形民俗文化財について、映像記録による保存継承・活用を図ってまいります。

次に、「輝く『まち』プロジェクト」であります。1つ目として、生活基盤の整備です。
石岡駅周辺整備事業において、西口交流施設を活用するための駐車場の整備と、東口への都市公園の整備を進めるとともに、石岡ステーションパークの有効活用に向け、市民が集える場所として整備を検討してまいります。
また、地域振興のイベント「いしおか市場」を引き続き支援し、中心市街地の活性化を推進してまいります。
市の重要な拠点である高浜駅周辺地区について、駅のバリアフリー化をはじめとする地域の課題を抽出し、その解決方策を検討するとともに、地域資源にも目を向け、魅力あるまちづくりの方針を取りまとめてまいります。
気候変動問題への対応と、持続可能な循環型社会の構築のため、カーボンニュートラルへの取組を進めます。また、環境基本計画に基づく、脱炭素アクションプランを策定してまいります。
2つ目として、公共交通の充実です。
高齢化に伴う移動制約者の増加が予想される中、移動スーパーによる買い物支援を実施することで、既存の公共交通機関を補完し、地域住民の更なる利便性の向上を図ってまいります。
コンパクト・プラス・ネットワーク型のまちづくりを目指し、中心市街地において、グリーンスローモビリティの実証実験を行い、新たな移動手段としての可能性を模索してまいります。
また、乗合タクシーの先進的な配車システムを導入することにより、運行の効率化を図り、市民が快適に利用できる環境づくりを進めてまいります。
さらに、代替バス路線において、地域ニーズを踏まえたルートの変更を行い、地域住民の利便性の向上を図ってまいります。

次に、「輝く『ひと』プロジェクト」であります。1つ目として、医療対策・子育て支援です。
地域医療について、現在の医療体制や小児科の緊急診療等を維持しつつ、医師及びコメディカルの不足や、産科・小児科・緊急診療等の医療課題に対する取組を進めてまいります。
安心して子どもを産み、育てやすい環境として、コーディネーターによる、健康や子育てに関する様々な相談への対応などの包括的な支援や、赤ちゃん紙おむつ支給事業を継続し、妊娠期から就学期まで、切れ目なくサポートしてまいります。
また、仕事と家庭を両立できる社会の実現と、安心して子どもを預けられる環境を整えるため、民間保育施設の整備に対して支援を行ってまいります。
2つ目として、学びの支援です。
学校施設の環境整備は、児童生徒の健やかな成長と確かな学力向上において、大変重要であります。安全で快適に学べる良好な教育環境の充実に向け、統合を控える南小学校の長寿命化改良事業等を中心に整備を進めてまいります。
また、児童生徒の健康と食育の推進のため、学校給食の充実を図ってまいります。材料費が高騰する中、保護者の経済的負担を抑えるとともに、地場産食材の使用や郷土料理を通して、食べ物を大切にする感謝の心や食事の重要性、食文化への理解を深める「食育」を推進してまいります。
本年4月に八郷総合支所複合施設2階にオープンする「郷の本棚やさと図書館」は、全ての世代が利用できる図書を揃え、学習や仕事、生活に関する情報収集の場、そして生涯を通した「学び」の場として、多くの皆様に利用していただける環境づくりを進めます。

次に、「輝く『暮らし』プロジェクト」であります。1つ目として、持続可能な産業振興です。
組織再編により経済部を産業戦略部と改称し、新たに産業プロモーション課を創設しました。持続可能な産業振興のため、積極的な企業誘致活動や、石岡セレクト認証品を含めた地場産品等の販路開拓、販売促進等のPRなど、国内外へのプロモーション活動を積極的・戦略的に推進してまいります。
ブランド柿である「紫峰煌(しほうのきらめき)」の販売促進や、生産者と異業種連携による6次化への支援を行い、農産物の販路拡大と市の知名度向上を図ってまいります。また、市内農産物の魅力発信の取組と、事業者と連携した更なる商品開発を進めてまいります。
コロナ禍における接触機会を低減するとともに、市民の消費喚起、地域経済の活性化を図るため、キャッシュレス決済ポイント付与事業を実施してまいります。また、住宅・店舗等リフォーム支援事業により、快適な住環境の整備や店舗の魅力や機能性の向上を支援し、移住定住に繋げるとともに、市内事業者等の持続的発展による地域経済の活性化を図ってまいります。
2つ目として、持続可能な地域社会の構築です。
複合文化施設整備事業において、文化芸術の推進を図るとともに、市民が使いやすく過ごしやすい空間づくりによって、まちへの愛着や誇りの醸成につながる取組を進めてまいります。
また、コミュニティ活動補助金等により、各地区の活動を支援するとともに、市民と行政の対話の場や、協働のまちづくり推進委員の活動を通して、協働のまちづくりをさらに推進してまいります。
市内の事業所へ、イクボス宣言の趣旨や、男性の家事・育児への参加促進等について啓発することで、ワーク・ライフ・バランスの推進を図り、誰もが多様な生き方を選択し、実現できる社会を目指してまいります。
さらに、様々な違いにとらわれず、誰もが多様性を認め合い、自分らしく活躍できる社会「共生社会」の実現のための取組を推進してまいります。市内に住む外国人が、地域の一員として共に活躍できる社会を目指し、多文化共生の取組に関する指針の策定や、窓口への自動翻訳機の導入を進めてまいります。

最後に、これら4つの分野のプロジェクトを下支えする「チャレンジする市役所」プロジェクトであります。
誰一人取り残さない持続可能なまちづくりを、市民と行政が一体となって取り組んでいくため、市民や職員への啓発活動やセミナーを開催することで、市全体としてSDGsへの理解を深めてまいります。
効果的・効率的な行政運営や行政手続等の効率化のため、デジタル化を中心とした業務の変革に向け、BPR手法による全庁的な業務分析を実施してまいります。
また、公共施設における品質と安全性の向上、加えて施設管理業務の効率化に向けて、公共施設の包括的な管理に関する調査を進めてまいります。
おくやみ窓口によるワンストップ対応や、申請ナビシステムの活用、郵便局での証明書等の発行など、便利で使いやすい窓口を充実させることで、市民サービスの向上を図ってまいります。
さらに、ドローンによる災害状況確認やインフラ点検、市の魅力の効果的な情報発信等の実績を踏まえ、さらなる事業展開への活用を進めます。あわせて、パイロットチームの技術の向上と、新たなパイロットの育成を進めてまいります。

 

おわりに

近年、世界的に気候変動による自然災害が多発し、昨年は国内においても豪雨による土砂災害等の被害が発生するなど、いわゆる地球温暖化が、我々の社会に深刻な影響を及ぼしております。さらにコロナ禍も契機となり、脱炭素化、カーボンニュートラル実現への流れが世界的に強まっております。
国内においても、国の2050年カーボンニュートラル宣言や、気候サミットでの2030年温室効果ガス削減の表明により、全国的に、脱炭素社会の実現の重要度が、日々高まっております。
地球温暖化対策は、SDGsのすべての目標の達成に影響を与えるものであり、カーボンニュートラルへの取組は、持続可能なまちづくりに欠かすことができないテーマであります。
本市では、本年度に策定する新たな環境基本計画において、「循環型社会を構築し、脱炭素や気候変動に適応するまち」を掲げております。今後、具体的アクションプランを定めていく中で、本市ならではのカーボンニュートラルの取組「いしおかスタイル」を確立してまいりたいと思います。
そして、市民、事業者、市、様々な主体がそれぞれの役割と責任を果たしながら、持続可能な生活環境の確保に取り組むことで、市全体として、二酸化炭素の排出量を実質ゼロとする「ゼロカーボンシティ」の実現を目指してまいりたいと考えております。

令和4年度は、新たな総合計画に基づくまちづくりのスタートを切る重要な年であります。
かつてないスピードで変化を続ける社会環境、先行きの見えないコロナ禍でのスタートとなりますが、本市の目指すべき将来像として掲げた「誰もが輝く未来へ共に創る石岡市」の実現に向けたまちづくりへの第1歩を力強く踏み出してまいります。
そのまちづくりを進めていく中には、「すべての市民が幸せを感じられる社会、特に子どもたちが石岡市に誇りをもって自らの未来に夢を描ける社会」を目指し、今を生きる私たちはもとより、未来の石岡市民を含めたすべての人が、多様な繋がりの下に、共に我々のふるさとである石岡市を創り続けていく姿があるものと確信しております。
そして、私自身がそのまちづくりの先頭に立って、全力で取り組んでまいります。

市政のかじ取りをする責任者として、「誰ひとり取り残さない(共生)、地域でお互いを高めあう(共育)、様々な主体で取り組む(共働)」の理念のもと、強い責任感と使命感をもって、市政運営に邁進してまいります。

議会の皆様、市民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げ、令和4年度の所信といたします。

このページの内容に関するお問い合わせ先

秘書広聴課

本庁舎 2階

〒315-8640 茨城県石岡市石岡一丁目1番地1

電話番号:(代表)0299-23-1111(直通)0299-23-7274

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