8月10日(月)
地域を耕す人たち
7月下旬に佐賀県の佐賀東部水道企業団を訪れました。企業長の柳川和政さんはたいへん見識の高い方で、50年先を見越したビジョンを語り、実践していました。水道事務所の最上階の窓から筑後川がすぐそばに見えます。
「川の対岸は、柳川市ですか」
私はある人物を思い出して柳川企業長に訊きました。
「そうです、何か?」
「広松伝さんという知人がいたのですが、数年前亡くなってしまいまして……」
「おお! 私がずいぶんとお世話になった方ですよ」と企業長はうれしそうに答えました。
後日、柳川企業長はそのブログの中でこう述べています。
「今泉市長は柳川市の水の会の初代会長だった広松伝氏とは旧知の間柄だったと聞き「縁」を感じざるを得ませんでした。この広松氏こそが今の柳川の掘割の再生の立役者であり水観光の生みの親だと私は思っています。次にお会いするときにはゆっくりと広松さんを偲ぶ話ができたらと思います」
月末には、歴史のまちのサミット「全史協関東地区協議会」が石岡市民会館で開催され、関東一円から関係者が集まり、市内の史跡を視察しました。
総会が始まる前のわずかな時間を活用し、私は来賓の川越市長や国分寺市長ほか数名の希望者に、石岡小学校周辺の史跡を見てもらいました。
「うーん、歴史が濃いですね。関東トップクラスの歴史のまちであることが、実感できました」
陣屋門から府中城土塁や国庁跡、藤原宇合への歌碑、ふるさと歴史館などを見て、そんな感想がきかれました。地元にいると何気ないものでも、新鮮な目で見るとその価値を敏感に感じるのだと思いました。
また、二日後には将棋のまち天童市で、地元の山本信治市長ほか、地域おこしに心を砕く野田市長や牧ノ原市長などと懇談する機会がありました。石岡市はふるさと納税で関東一位になっていますが、世の中は広いもので天童市は日本一です。山本市長のお話によれば、昨年度の寄附額は全国で5位でしたが、今年は2か月間で6億円を超えて全国トップ。雹害にあったリンゴやラフランスを返礼品に加え、将棋の駒やサクランボ、高級家具など豊富なメニューをそろえています。
工夫に工夫を重ねていることが分かりますが、改めて全国には地域のために心血を注ぐ人物がいることを実感します。九州から東北へと、お会いした人々の心に触れて自分自身にも熱いものが灯った夏でした。
▲地域のために、社会を明るくする運動も行っています
文・写真 今泉 文彦