8月7日(日)
ゲゲゲの街角から
鳥取県境港市の中心商店街は、歩道から溢れるほどの人で賑わっていました。街並みは石岡の中心市街地と似たような規模ですが、そこに訪れる人の数は比べものになりません。
猛暑の日曜日、夏休みだけに親子連れの観光客が目に付きますが、若者たちのグループや中国からの一行、壮年のご夫婦など多種多様な来訪者が、ゲゲゲの鬼太郎の世界を楽しんでいます。
歩道の一角に設置された鬼太郎の等身大のブロンズ像を囲んで、何組ものグループが写真を撮っていました。街中はネズミ男や猫むすめ、一反木綿、目玉のおやじなどの銅像があちこちに置かれ、まさに生みの親の「水木しげるロード」が出現しています。
境港駅から続く商店街は800メートルで、そこに153体もの妖怪像が並んでいるのです。
スタートは平成5年で、23体の銅像からでした。空洞化した商店街に、地元出身の著名な漫画作家・水木しげるさんの描いた妖怪の世界をオブジェで表現したのが始まりです。その後、銅像の損壊と盗難の騒動が全国的に報道され、県外での知名度が上がりました。
観光客は年々増え、平成22年にNHK連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」の放映により爆発的に増加し、年間370万人という鳥取砂丘を抜く観光地に躍り出ました。
現在は200万人台に落ち着いているようですが、それでも街並みは黒山の人だかりで、商店は大繁盛です。
地域資源発掘の代表的な成功例ですが、大ブレイクまでには17年もかかっています。県内では龍ヶ崎のコロッケが、B級グルメ日本一で10年かけてその座についたように、成功への道のりに近道はありません。
地域資源を深く掘り下げ、地域固有の個性を磨き上げ、一歩一歩着実に進むことが大切であると、境港市を訪れて改めて感じました。
帰路に着きゲゲゲの商店街を振り返ると一反木綿と猫むすめが、怪しげに見送っていました。
▲観光客で賑わう鳥取県境港市の「水木しげるロード」