10月4日(火)
霞ヶ浦と筑波山
つくば市役所で開かれた日本ジオパーク認定祝賀会で、私は次のようなスピーチをしました。
「筑波山と霞ヶ浦を有する6つの市とその関係者が、これまでにない連携のもと、ジオパークの認定を得たことは大きな意義があります。
常陸国風土記には、入り海だった霞ヶ浦にクジラ以外の魚は全て居たと記され、筑波山にはクマとサルを除いた小動物が生息していたそうです。しかし、今は、クマ・サルどころか外来生物も出没し、千年前とは状況が異なっています」
ジオパークとは、地球科学的な価値を持つと認定された場所。そこでは、大地の遺産を守り、教育やツーリズムに活用しながら、地域の持続可能な活動を展開しています。今回、霞ヶ浦を含む筑波山地域が2度目の挑戦で認定されたのでした。
会場には、つくば市と土浦市・かすみがうら市・桜川市・笠間市・石岡市の関係者が集い、セレモニーの後は、認定に至る苦労話で盛り上がっていました。
私はその中にいて、ふと一冊の本を思い出しました。それは昭和38年に刊行された県南観光誌「山紫水明」という大冊です。序文には次のような一文が寄せられています。
「ラインの流れも、河岸の巌(いわお)も、ローレライの詩によって美しく、ナポリ湾の思い出もサンタルチアの歌声によって尽きない」とあり、霞ヶ浦と筑波山の広域的観光地を創作俚謡と写真とで分かりやすく紹介しています。
祖先から親しんできたこの大自然に感謝する時、山は息吹き水は生きる、との発刊の趣旨は、この場と共通するのではないかと感じたのです。
ともあれ、ジオパーク認定によって、6市の連携という新たな絆がうまれました。連携を生かした観光振興は、単独よりもはるかに効果的であることが分かっています。
「今泉市長、後をよろしくお願いしますよ」
11月の退任を表明したつくば市の市原健一市長が、力強く握手を求めてきました。ジオパーク認定を機に6市による本格的な観光振興がこれから始まります。