3月30日(木)
南海の楽園とのスポーツ親善を目指して
インドとスリランカの西方に広がるインド洋の一角にサンゴ礁に囲まれた1200もの島々。それがモルディブ共和国で人口40万人の小さな国です。近年の地球温暖化の影響で水没の可能性が示されたことにより一躍有名になった諸島でもあります。そのうち13万人が住む首都マレは、直径1キロメートルほどの丸い島で、写真で見ると周囲を堤防で囲まれた都市がポツリと青い海の中に浮かんでいる印象です。 そのモルディブ共和国の次期大使モハメド・シャリーフ氏から、会ってお話したいとの打診がありました。東京オリンピックの事前キャンプ候補地の一つとして「石岡市のスポーツ施設をぜひ見たい」とのこと。
この仲立ちをしてくれたのは、日本バドミントン協会の白井巧さん。以前から市の企画部門が、茨城県や筑波大学、白井さんたちのアドバイスを受け、オリンピックの事前キャンプ地誘致のPR活動をしてきました。
「石岡市は今、何がおいしいですか」とシャリーフ氏。「この朝採りイチゴです」と私は用意してきた辻のイチゴを手渡しました。 「おお、イチゴは私の妻の大好物。ありがとう」
その後、女性書記官から大使へと伝達された円筒形の木箱が大使からプレゼントされました。
「これはモルディブ人が古くから乗っていた帆舟の模型です。これでインド洋を航海していたのです」
モルディブの主産業である漁業は、マグロとカツオの水揚げが主流で特にモルディブフィッシュと呼ばれる食材は日本の鰹節と全く同じ。会談の中で、石岡を紹介する映像を大使に見てもらうと、緑に囲まれた自然と古代から続く歴史に驚き、食い入るようにモニターを見ていました。
「ところで、体育施設はどのような規模と内容ですか」いよいよ本題です。私は運動公園体育館と陸上競技場などの概要を示し、石岡の施設がいかにキャンプ地に適しているかを力説しました。東京まで1時間の距離にあり、それでいて豊かな自然と食材に恵まれた格好の練習環境が石岡市にはあります。
果たして誘致が成就し、モルディブ共和国と提携できるかはもう少し待たなくてなりませんが、子どもたちの交流を想像すると夢が広がります。
【追記】 4月6日 モルディブ大使館から5月上旬に、シャリーフ氏が石岡市を訪れたい旨の連絡が入りました。
文 今泉文彦