9月6日(水)
映像に託すメッセージ
第3回定例会の一般質問が終わると、山のような決裁文書が待ち構えており、一つ一つ目を通していたところ、秘書広聴課長が文書の束を持って来ました。
「挨拶文が三つあるので確認願います。それから、映像コンテストのポスター案を見ていただきたいのですが…」
次から次へとやるべきことが現れますが、休む間もないのは、資料を準備する秘書広聴課のスタッフであり、私が短時間で判断できるよう整理してくれています。
「ポスターか。それなら文字を少なくして、大きくするといいね」
相手の立場に立って情報発信ができれば、その効果は絶大です。ポスターを複数の目で点検した結果、数か所の改良点がありました。
すぐに修正され、訴求力の高まったポスターがテーブルの上に広げられました。
「ふるさと石岡映像コンテストか、どれだけ応募があるだろうね」ポスターを見てイメージが広がってきました。
昭和32年に作られた映画「米」は、霞ヶ浦湖畔を舞台とした農村に生きる人々のドラマです。美しい霞ヶ浦と湖岸の村が印象的に映し出され、当時の世相や日常も垣間見られます。優れた映像からは、生き生きとその時代がよみがえってきます。
ふるさとの文化や暮らし、歴史や人物などをモチーフに、石岡を舞台とした映像作品が完成すれば、広く全国へ、さらに未来へと、輝く石岡をアピールしていけるでしょう。
古い住宅地図も似たような効果があるようです。国鉄常磐線・石岡駅の界隈は商店ばかりでなく工場や倉庫、学校・官公庁、娯楽施設などがひしめいていました。八間道路をちょっと上ってゆくと、石岡警察署と消防署が向きあっていて、その脇には石岡柔剣道場。近くには石岡ドレスメーカー女学院や吉川技芸高等学校、映画館・東宝劇場がありました。
以前、古い地図のコピーを持って駅前の佃煮屋さんを訪ねたことがありました。
「いやぁ、懐かしいね。おかめ湯があるよ」とご主人は
地図に目を凝らします。
「そうそう、駅の真ん前に旅館があって、一軒おいて自動車工業、観光会社がある」
「間に民家がありますが?」と私は口を挟みました。
「ん、これは、そうか、警察署長の官舎だ」駅前の一等地に署長宅があったようです。病院も多く、石岡協同病院と四つの医院名が見えます。
「とにかく当時は賑やかだった。この駅前の狭い地域に何でもあった感じだね」と
ご主人は回想します。
コンテストの映像は、郷土の記録としてこれ以上に価値を高めていくことでしょう。
文・今泉 文彦