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石岡のひとインタビュー:荒木農園 荒木亮太郎さん

「畑から環境再生 あらきファーム&ガーデン 荒木亮太郎さん」

だんだんと寒さに慣れてきた、そう思って油断すると冷たい風に怒られる1月。

今回のMIPPE石岡のひとインタビューは農家の荒木亮太郎さんです。

先日、私用で荒木さんの畑を見させてもらったのですが、その畑が美しさといったら!秘密を聞いてみると“フコウキサイバイ”という言葉が出てきたのです。

畑を耕さない野菜作り...?これは話を聞かないわけにはいかない!

未知の領域に挑む荒木さんにお話しを伺いました。

若いころの経験がきっかけで

東京出身で、大学への進学を機に北海道へ行き、酪農について学びました。しかし、勉強するよりは北海道を楽しんだキャンパスライフだったそうで、

「大学1年生の時自転車で2週間かけて北海道一周したり、2年生の時もコース変えて一周したり、ヒッチハイクもした!遊んだことが今に生きているよ。卒業して25年くらい経つけど、思い出すのは大学4年間かな~楽しかった思い出が今の支えになっているね」

と語ります。

 

ーーー大学卒業後は何をされていたんですか?

 

 卒業後は酪農関係の仕事に就いたんだけど、事務職で身体をあまり動かさない日々で。身体を動かすのが好きだったから仕事が合わなくて、休職したんだよね。

 そして大学生時代にやったように、歩いて北海道を横断した。そこでふらっと寄った農家さんで食べたトマトが美味しかったの、ほんと、やたら上手かったんだよね。

 苦手だったトマトが食べられるようになった経験をして、自分も作りたくなった。良いと思ったら、自分でもやりたくなる性格でさ笑

 色んなものを見て経験したこと、特に若いころの経験は大人になって何か行動を始めるきっかけになっているよ。

 

ーーー私も、大学生の時に色んな場所へ行って、色んな人の生き方を見たのが、今につながっています!私の八郷の出会いは偶然の人との出会いでしたが、荒木さんは八郷を何で知ったんですか?

 

 東京の移住フェアの紹介かな、その時は長野、宮城、福島もみていたよ。農業をやりたかったから、八郷の有機農業の研修制度を見つけて、事務の人に「今なら空いているよ」と言われて即決したね。

みっぺ記事_荒木さん01

▲歩きながら畑の説明をしてくれる荒木さん

本当にいい野菜ってなんだろう

ーーーどのような経緯で今の不耕起栽培(耕さない農業)になったんですか?

 

 農業していると、畑にビニールマルチをはって、はがして、捨てる作業があって。「なんで農業していてこんなにゴミがでるんだろう」って思った時があった。マルチのゴミは自分で捨てるわけじゃなくて回収しているんだけど、毎年回収費用が高くなっていたんだよね。

 仕事をすることで、自然を汚している?変なことしている?って農業のやり方にモヤモヤし始めてさ。でも子育てがあるから、収入が減るのが怖くて、農業のやり方を変えられなかったんだよね。

 

 でもそんな日々が続いて、15年前に病気したの。それで半年くらい農業を休んだ。身体が動くのが当たり前だと思っていたけど、病気になって、身体が思うように動かなくなった。その時に、本当にいい野菜って何だろう?って考え始めたんだよね。不耕起栽培とか自然農とか、農薬や化学肥料を使わない農法をたくさん調べていたんだけど、そしたら調べれば調べるほど作りたくなっちゃって笑 そうして不耕起栽培をすることに決めたのかな。

 病気になって考える時間ができたのが、人生の転機になったね。そう思うと、立ち止まる時間も大事なのかもね。

みっぺ記事_荒木さん02

▲畑作業は、毎日が実験だと語ります。

いかに再生しながら農業ができるか

ーーー不耕起栽培にしてどんなことが変わりましたか?

 

 不耕起栽培にして色んなことが無くなった!トラクター、ビニールハウス、マルチ、ビニール系の資材、管理機とか...結構いっぱい!笑

 前は、機械壊れないかな、マルチ足りるかな、マルチ高いな、資材の値段上がっているな...とか思っていたから、機械とか資材に依存しなくなって心が楽になったね。

 それに手作業だけでできることが増えたから、作業しながら考える時間が増えたし、畑に花も増えて、畑がどんどんよくなっている。これからは木を植えたいと思っているよ!こういうのは“アグロフォレストリー”って言うんだけどね。

 畝ごとに花の名前を付けようかな?とか思って、今からわくわくしてるよ笑

 

ーーー私はそんなに機械を扱うのが得意じゃないので、機械が少しでも動かなくなると、壊れちゃうんじゃないかと、ものすごく心配になります。笑 なので機械が無くなって楽になる感覚がわかるような気がします。笑

 畑に花を植えたり、木を植えたりするのは、どんな意味があるんですか?

 

 今やっている不耕起栽培とか花や木を植える農業のやり方は、“環境再生型農業”って言うんだけど、まあ言葉そのままで、環境を再生しながら農業をするやり方でね。

 自分は自然の恩恵をギリギリ受けられる世代だと思っているけど、最近の気候とかニュースを見ると自分の子ども、その子どもは住みにくい時代がくるのかなって、思ってしまうよね。

 子育てしてから、自分だけじゃなくて自分の子ども、そして孫が生きる世界を考えるようになって、その子たちのためにも、今できることをしなきゃと思っていて。そして環境再生への意識を持って農業するようになった。

 畑に花があると、ハチや虫たちが畑に来るようになって、受粉が上手くいったり害虫を食べてくれたり、

 畑に木を植えるのは、これからさらに暑くなると予想される気候に合わせて、作業中に休める木陰を作ったり、野菜の日焼けを防げるようにしたりするためで、

 他にも、野菜を作らない時期にカバークロップを育てると、土を良くしながら光合成で二酸化炭素を吸収してくれる。まだまだ色んなことがあるけど、畑から環境再生していると思ってやっているよ。自分でいうのも変だけど、凄い仕事だと思わない?笑

 

ーーーほんとすごい仕事だと思うし、荒木さんのその考え方も凄いです…語彙力が無くなるぐらい感動しています笑 話を聞いていたら、すごくやりたくなってきます!笑

 

 この環境再生型農業をやろうとすると、ちょっと最初が難しいかもしれないけど、2年くらいあればできる!まあでも、まずはやろうとする勇気が0番目かもしれないね、今の生活を変えるだけの勇気があるか。

 いま自分がやっていることは、罪悪感がない仕事だと思ってる。それで楽しいから最高だよね笑

 

ーーーいやほんと、素敵です...もっとこの再生型農業が広まってほしいです!

 

 ほんと、みんなやればいいのにって思ってる笑

 まあでも、不耕起栽培が広まらないのは、バランスを欠いているからかもね、良いと思うことは色んな農法から取り入れればいいし、ほんとこだわりすぎないこと。そうすればラクだし、楽しくなる!

 不耕起栽培や環境再生型農業という、自然を再生しながらできる農業があると知って、少しでもやってみようかなと思う人が増えればいいなと思うよ。

みっぺ記事_荒木さん03

▲インタビュー中、カメラを向けると恥ずかしそうに笑う荒木さん

 

人も野菜も、育ち方によって実りが違うし、野菜も果物も、成長する様子は子どもと一緒!

“人に優しくされた経験は人に返せるし、厳しくされた人は人にも厳しくなる。”

と語る荒木さんの口調は、インタビュー中ずっと優しかったです。

 

荒木さん、ありがとうございました!

取材を終えて

とにかく荒木さんの畑は美しくて、優しくて、まるでお庭のようです。

畑から環境再生できることを知って、魅せられたからには、実践あるのみ!ということで私も荒木さんを見本に畑をやっています。

人生、根を張って晩生でいきたいものです。

 

インタビュー日:2024.1.17

取材/執筆/編集:石岡市地域おこし協力隊 小原 百惠

 

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  • 【更新日】2024年8月30日
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