石岡市では地域医療対策を最も主要な施策の一つとして力を入れて取り組んでいます。
これまでの地域医療に関する協議や取り組みについて、広報いしおかでの掲載記事から振り返ります。
石岡の地域医療のいま(1)(平成30年9月15日号)
平成30年6月25日に開催された第1回石岡地域市民医療シンポジウムについて掲載。
石岡地域がいま直面している医療の課題について意見交換を行い、小児科医・産科医の不足や、夜間緊急診療の限界といった現状が浮き彫りになりました。
石岡の地域医療のいま(2)(平成30年10月1日号)
平成30年第2回石岡地域市民医療懇談会の内容を掲載。第2回懇談会では、なぜ地方から医師が減っているのか、医師不足の問題を解決するために、いま取り組んでいること、これから取り組むべきことなどについて議論しました。
石岡の地域医療のいま(3)(平成30年12月1日号)
特集石岡の医療と題し、3回行われた地域医療懇談会の内容を5ページにわたって紹介しています。
第1回と第2回では、地域医療の課題と解決策について話し合われ、地域医療の課題は「休日・夜間の緊急診療の限界」「産科・小児科の医師不足」「医師の高齢化」。
根本的な問題解決のために、「一定規模以上の病院の整備」や「医師確保等への補助金」「医療機関への財政支援」などの解決策があげられました。
第3回の懇談会では、産科・小児科・緊急診療の3つの観点から、10年後を見据えた医師確保の受け皿となる病院の整備などについて話し合い、委員の1人1人の発言が掲載されています。
今泉市長は、3回の懇談会を受け、今後は専門家を交えて協議していくという発言をしています。
石岡の地域医療 目指すべき具体策を模索(令和元年10月15日号)
平成30年度に開催された石岡地域市民医療懇談会を受け、医療体制を強化し、地域で連携しながら対応策をスピーディに決定していくため、石岡市医師会管内の3市(石岡市・かすみがうら市・小美玉市)と石岡市医師会長で構成される『石岡地方医療対策カンファレンス』を令和元年6月に立ち上げました。
また、具体的な解決策に専門的な知見を取り入れるため、『地域医療に係る対策を検討する専門委員会』を令和元年8月に設置しました。
令和元年10月15日号の広報では、 令和元年8月と9月に行われた、地域医療に係る対策を検討する専門委員会の第1回会議と第2回会議の様子について掲載しています。
石岡地域に必要な医療体制の構築に向けて(令和元年12月15日号)
令和元年12月15日号では、地域医療の協議についてこれまでの経過と今後の予定の概要を掲載しています。
令和元年11月21日に第4回地域医に医療に係る対策を検討する専門委員会が行われ、取り組むべき時期ごとの対策や、優先的に実施すべき対策、公立病院の必要性や、病院の再編統合と病床の再配分による効果などが示され、報告書として取りまとめられました。
それから今どうなってるの?
第4回地域医療に係る対策を検討する専門委員会で取りまとめられた報告書は、『石岡地域医療計画(案)報告書』として、令和元年11月29日の第2回石岡地方医療対策カンファレンスへ提出されました。
その後、石岡地域医療計画(案)として令和元年12月16日から令和2年1月17日にかけてパブリックコメントを実施し、令和2年1月22日に開催された第3回石岡地方医療対策カンファレンスにて計画が完成し、『石岡地域医療計画』が策定されました。
石岡地域医療計画の概要
石岡地域医療計画は、地域に必要な医療体制を構築するために、行政と地元医師会や地域の医療機関が連携して、どのような取り組みをするか、何を優先して取り組むかといった方向性を示すために策定されました。
計画は第1章から第5章と資料編構成され、「第1章 計画策定のあらまし」「第2章 石岡地域における医療の現状」「第3章 石岡地域における医療の課題」「第4章 課題解決に向けた基本的な考え方」「第5章 具体的な対策」という流れで記載されています。
なお、本計画では、石岡市医師会管内である石岡市(石岡地区および八郷地区)、かすみがうら市(千代田地区のみ)、小美玉市(玉里地区のみ)をあわせて石岡地域としています。
石岡地域の医療の現状
石岡市・かすみがうら市・小美玉市の医師数
人口10万人当たりの医師数は、全国平均、茨城県平均を下回っています。
全国 | 茨城県 | 石岡市 | かすみがうら市 | 小美玉市 |
251.7人 | 189.8人 | 124.8人 | 45.6人 | 71.2人 |
石岡地域の救急体制
初期救急体制
休日の日中や夜間の緊急診療を、石岡市医師会所属の医師と非常勤医師が対応しています
二次救急体制及び三次救急体制
二次救急は、石岡市医師会病院、石岡第一病院、山王台病院、石岡循環器科脳神経外科病院の4病院が輪番制により対応しています。
三次救急は、土浦協同病院救命救急センターをはじめとする県内6施設で対応しています。
3市の受療動向
石岡市医師会管内で医療を受けている人の割合について見てみると、外来は管内で一定程度受入ができています。
一方、入院については、石岡市・かすみがうら市・小美玉市の3市とも5割超が管外の医療機関にかかっていて、特に、小児科については、8割超が管外の医療機関となっています。
救急搬送等の実績
初期救急
休日夜間緊急診療(内科・小児科)の患者数は、年度による増減はあるものの増加傾向です。
一方、休日在宅当番医(外科)の患者数は、平成27年度以降ほぼ横ばいです。
救急搬送
消防本部の搬送先は、石岡市、かすみがうら市では土浦協同病院が最も多く、小美玉市は石岡循環器科脳神経外科病院が最も多いです。
石岡市医師会管外への搬送割合は、石岡市が47.1%、かすみがうら市が92.4%、小美玉市が51.8%です。
また、三次救急病院である土浦協同病院への搬送のうち、軽症患者の割合は3市とも5割を超えています。
石岡地域の医療課題
石岡地域の医療の現状から、石岡地域における医療課題を「医療体制」「受療動向」「救急体制」に分類して整理しました。
医療体制 |
・医師とコメディカル不足及び医師の高齢化により緊急診療の継続が困難 |
受療動向 |
・入院は、5割超が石岡地域から流出しており、地域内での受入が十分できていない |
救急体制 |
・石岡地域での二次救急の受入が十分にできていない |
課題解決に向けた基本的な考え方
3市の総人口は減少している一方で、高齢者の人口の割合は今後も増えると予測されています。
さらに、医師の高齢化は年々進み、今後医師数や医療施設数の減少は加速することが見込まれています。
こうしたことから、地域の市民への医療提供体制の再構築を早急に進めなければならない状況にあります。
これらの状況の中、地域医療をよりよくしていくためには、石岡地域でのあるべき医療体制を明確にし、地域の実情や特性を踏まえた取組を講じていくことが必要です。
このような考え方から「持続可能な医療体制で誰もが安心して暮らせる石岡地域」を本計画の基本理念とし、石岡地域の市民が、10年20年先も住み慣れた土地で安心して適切な医療を受けることができる体制を実現するために、国及び茨城県の方向性や、医療を取り巻く現状も踏まえた計画を策定します。
具体的な対策
石岡地域に必要な医療体制を構築していくための、具体的な手法について、取り組むべき時期ごとに、「医療供給体制の整備に係る対策」、「医師確保に係る対策」、「救急体制強化に係る対策」をまとめました。
医療供給体制の整備 | 医師確保 | 救急体制強化 | |
短期 (1~2年) |
・医療資源の集約化や医師を呼び込める医療機関(中核病院等)の整備 |
・マンパワー確保のための補助 |
・小児救急体制の強化 |
中期 |
・産科の新設 |
・研修環境の充実 |
|
長期 (5~10年) |
・在宅診療クリニックによる訪問診療や訪問看護の充実 |
・石岡地域での勤務医が一定期間希望する病院等で勤務できるような研修体制の整備 |
優先的に実施する対策
計画の第5章では、課題解決に向けた取り組むべき時期ごとの対策が細かく記載されていますが、特に優先して実施する対策として「病院の再編統合(公立化)と病床の再配分」があげられています。
(石岡地域医療計画より抜粋)
計画の第3章では、石岡地域における医療の課題が、「医療体制」「受療動向」「救急体制」の3つカテゴリーにわけて整理されました。これらの課題の根底にあるのが医師不足。
この医師不足の解消と地域全体の医療機能を高めるために、優先して実施する対策としてあげられたのが「病院の再編統合(公立化)と病床の再配分」です。
多くの医療機関が医師や看護師などの医療人材の確保に苦慮している現状の中で、地域の医療を守るために、人材や医療機器の集約を図ることが必要です。
また、公立病院化することで、病院の再編統合による病床の再配分が可能となり、回復期病床の増床や救急体制が強化され、地域の医療機能の向上を図ることができます。
今後どうしていくのか
計画が策定され、地域医療対策を実施していく道しるべができました。
今後は、この計画をもとに、地域医療対策を実施し、石岡地域に必要な医療体制の構築に向けていきます。