1月15日
電話から聞こえる石見利勝姫路市長の声は、20年前と変わらぬお茶目な関西弁でした。
「1月半ばまでに来られると良いわ。姫路城の大改修がそれまで公開されとるから、どうぞ
見とくれなはれ」
かつて石見市長は、筑波大学で社会工学を教え、その後は京都の立命館大学で教鞭をとって
いました。平成15年、ふるさと姫路市の市長に就任し今に至っています。
姫路市は人口54万人の中核都市。世界遺産の姫路城を有し軍師・黒田官兵衛のゆかりの地と
して注目されています。
「酒蔵が石岡と同じように仰山あり、このほど乾杯条例が出来たんや。姫路は官兵衛のまち
やから、乾杯はカンベーとやるんわ」姫路市役所の市長室を訪ねて、早々にこんな会話で場を
和ませます。
二人の出会いは「いばらきふるさと塾」で、私は第3期の塾生代表、石見市長は専任講師でした。
県知事が塾長のこの塾は、地域づくりリーダーの養成機関として、長く続けられました。
今回、石岡市のプロジェクト推進のため、先進事例をあたっているうちに、行き着いたのが姫
路市でした。生涯現役、行財政改革、観光、史跡保存など、いずれも石岡市が目指すものを先駆的に
取り組んでいました。偶然にもその市長は、我が師・石見先生でした。
姫路城大改修の公開最終日の前日、私は見学者の長い列の最後尾に並びました。「2時間待
ち」とパネルに文字が見えます。ここでも石見市長の卓越した経営感覚を感じました。修復現場を公開して、
観光にしてしまうしたたかさです。お城の大天守は、スッポリと覆い屋に包まれています。
覆い屋の大壁面には「天空の白鷺」の文字が羽ばたいていました。城内の展示コーナーには、
随所に観光ボランティアがいて、笑顔で声をかけてくれます。世界遺産のおもてなしに触れ、
その余韻に浸りながら私は神戸空港発の旅客機に乗り、茨城空港へと向かいました。
二市の地域資源の圧倒的な差を感じて窓を眺めていると、着陸寸前に素晴らしい光景が広が
りました。それは夕日を浴びた筑波山で、霞ヶ浦の湖面を前にして両脇に連山を従え、まるで
大きな鷲が翼を広げたように見えていました。
「石岡も負けてはいないね」と私はひとり頷きました。
文・写真 今泉 文彦
新・市長日記 20年ぶりの恩師(広報いしおか2月1日号)
このページの内容に関するお問い合わせ先
メールでお問い合わせをするアンケート
石岡市ホームページをより良いサイトにするために、皆さまのご意見・ご感想をお聞かせください。
なお、この欄からのご意見・ご感想には返信できませんのでご了承ください。
- 【アクセス数】
- 【ページID】2114
- 【更新日】2014年2月21日
- 印刷する