8月3日(日)
職員の可能性
茨城県民オペラ協会から招待があり、土浦市の市民会館でオペラ「小町百年の恋」を見ました。
この作品は、佐賀純一著「筑波山愛ものがたり」を原作とした創作オペラで、国府が石岡に置かれた当時のこの地方のラブストーリーです。
国司・藤原宇合(うまかい)のもとで「常陸国風土記」を編さんしたとされる高橋虫麻呂(むしまろ)が主人公で、様々な困難を小町との愛の力によって乗り越える内容です。
実はこのオペラは、3年前の3月に石岡市民会館で開催されるはずでしたが、大震災の発生によって中止となりました。
主人公の虫麻呂が実際に居たのが市民会館の辺りですから、ゆかりの地で上演できなかったことは残念です。
「いずれ、石岡市民会館で開催できたら良いですね」私は関係者の一人にそうつぶやき、感謝とともに会場を後にしました。
感動の残る帰りの車中、一週間前の結婚式を思い出しました。
新婦である市職員の女性から招待された盛大な挙式でした。
出て来るのは、宮崎駿の映画の主人公たちで、最後に新郎新婦を囲んで祝福するという趣向でした。
となりのトトロやもののけ姫、魔女の宅急便、天空の城ラピュタ、千と千尋の神隠し、崖の上のポニョなどの登場人物に扮し、楽しい場面が続出です。
(写真;同期生が演じた宮崎駿の映画の主人公たち)
発想の豊かさと彼らの思いから、市職員の高い可能性も実感しました。
振り返ってみると、市長就任の9ヵ月間で、職員の努力や創意工夫により、大きな効果が現れた事柄がいくつもあります。
ふるさと納税は、昨年の暮れから著しい増加があり、県内でトップ、全国で10番以内の納税額を記録しています。
これは担当者が納税者への景品を厳選し、インターネットでていねいに広報したことが納税の圧倒的な増加につながっています。
また、NHK の「小さな旅」に続き、全国放送で「鶴瓶の家族に乾杯」が放映されたのも、職員の熱心なアプローチがあったからこそです。
全国に2週連続で、石岡市がPRされた効果は計り知れないものがあります。
「職員は、市の人材ではなく、人財です」とは、行政学に一家言を持つ大森彌(わたる)・東大名誉教授の言葉です。
私がかつて塾生だった茨城ふるさと塾で、大森先生は市職員のあり方をこう力説しました。
「市町村の職員に問われる能力は三つです。より一層感じ、より一層考え、そしてより一層行動する力、この三つの力です。磨けば光る人を人財と呼ぶのです」
20年前の言葉ですが、大森先生の言葉は少しも色あせていません。
文・写真 今泉 文彦