新年度になって、市内の事業所や県内の官公庁、学校、各種団体などの代表者の顔触れが変わり、就任挨拶の面会が続いています。
市長室は簡易プレハブの二階にあるため、訪れる方の中にはその狭さと質素さに驚く人もいます。
午前10時。石岡市校長会の役員さんが見えました。城南中・市川均会長をはじめ、小幡小・高橋貞二、小桜小・菱沼敏之、石岡中・岩田知行、石岡小・児島裕治、柿岡小・久保田哲の各校長が頼もしい表情でテーブルを囲みます。
「ふるさと再生の一環として、郷土学習の重要性に目を向けたいと思っています」桜井信教育長が力強く言いました。
その取り組みは、小学一年生から中学三年生を対象にカリキュラムを組み、二年後から始まることになりそうです。
「郷土の歴史や自然・文化を知り、ふるさとを愛し誇りを持つ子どもが増えてくれば、地域の将来は明るいですね」と私は期待を込めました。
郷土学習にはテキストが必要であり、そのための素材収集を今年度一年かけて市民参加型で行い、翌年に編集とカリキュラムづくりが先生方によって進められる、そんな流れが予想されます。
しばしの教育談義が済むと、地磁気観測所や国土交通省常陸河川事務所の所長さんたちが新任の挨拶に来庁しました。
合間を縫って、防災用品の寄贈を受け、春の全国交通安全運動の街頭キャンペーンに参加し、内部打ち合せを複数の部署と実施し、最後はかすみがうら市の上土田にある四万騎農園の石蔵ギャラリーで開催中の「小林恒岳日本画展」を訪問です。
石岡を代表する画家である小林恒岳画伯は、今回の個展に際しこう述べています。
「今年もまた菜の花の季節が巡ってまいりました。……この春で82歳を迎える私ですが、思えば父・巣居人が他界した年に当たり、感慨無量です」
二階建ての大きな石蔵に展示された名作の数々は、いずれもふるさと石岡のすばらしい風景を描いています。
表現者の技量と精神によって、これほどまでにふるさとの光景が輝き奥行きが生まれるものかとため息が出ました。
最後に見た「春鯉」(六曲一双)の大作は、石蔵の大壁一面に展示され、春の息吹に活動をはじめた野鯉のたくましい姿が印象的でした。
▲小林恒岳日本画展で見た大作「春鯉」
文・写真 今泉 文彦