10月31日(金)
まちを訪れる人々
常陸國總社宮の境内に着くと、すでに文京区のお客様たちは隋神門の前に到着していました。
十数年ぶりに再開した文京区との交流ツアーの参加者42人を前に、私は歓迎の挨拶をし、その中で昭和60年代に始まった都市交流の経緯を話しました。
きっかけは、当時の市長と区長が水戸一高の同窓生で、その縁で市民レベルの交流事業がスタートし、様々な分野で相互にまちを訪れるようになりました。交流は平成11年ごろまで続いていました。
そのような縁を大切にしたいと、私は昨年12月に文京区を訪ね、成澤区長に交流再開をお願いしたところ、このようなバスツアーが実現したのです。
文京区役所で応募したところ、なんと応募者は375人にも達しました。
「献上柿が楽しみだわ」と年配の女性の声が聞こえました。
私は、一人ひとりに記念品を手渡し、石岡市を訪問してくれたことに感謝しました。
文京区のお客様は、次に看板建築や酒蔵に向かい、その後はやさとの秋を楽しむ行程です。
(写真;柿狩りを楽しみ、やさとの秋を満喫しました)
その二日前にも遠方から大勢の来訪者がありました。それは、根小屋の県畜産センターの高台に完成した大きなパラボラアンテナ・国土地理院VLBI 観測施設の開所式に参列した方々でした。
見晴らしの良いアンテナの元でセレモニーが行われました。参列者は、観測施設に関わる研究者が多く、国際色豊かな顔ぶれです。
式典が終わると、風土記の丘の曲屋で食事です。私は昼食前に歓迎の言葉を述べ、献上柿をデザートに出しました。
「やさと産のこの柿は、毎年11月になると皇室に献上するのです。どうぞ、味わってお召し上がりください」女子職員の通訳が加わると、外国のお客様の表情が変わりました。
そんなシーンに加えて、今度は10日ほど前に訪問した矢祭町のことが脳裏をよぎりました。
6次産業化や町おこし、定住促進などに先駆的に取り組んでいる人たちを訪ねたときのことです。園芸農家に始まり、町の旧家、農業法人、酒造会社、木材加工場と案内され、そこで会った人たちから、心からのお
もてなしを受けたのです。
町をなんとかしたい。この町の良さを知ってほしい。そんな思いが、渦巻いていました。
まちを訪れて素晴らしいと感じるのは、悪戦苦闘しながらもそこに頑張る人々が居て、その思いが伝わってきたときです。
「文京区の人たち、今日は石岡市をどう感じてくれたかな」そう思い窓の外を眺めると、周囲の木々はすっかり秋色に染まっていました。
文・写真 今泉 文彦