新・市長日記 コスモスと子猫(広報いしおか11月15日号)

10月14日(火)

コスモスと子猫

総務省の知人から頂戴した小冊子「市町村長による危機管理の要諦(ようてい)」がこんなに早く役に立つとは思いもよりませんでした。
大きな災害にあった場合、最も重要なことは、初動に際し次の5点を実行すること、と冊子にあります。
 1 駆けつける(災害対策本部を設置する場所へ)
 2 体制をつくる
 3 状況を把握する
 4 意思決定をする
 5 住民に呼びかける
台風18号が石岡市を直撃した日も、このことが脳裏に強く刻まれていました。
 
10月5日の夕方、風雨が強くなってきました。午後6時過ぎには、大雨洪水警報が出て、防災対策課の職員が市役所に待機しました。
夜になって帰宅した私は、豪雨の様子が気になって、テレビの気象情報を1時間ごとに見ていました。家の外では激しい雨音が続き、時おり木々の唸(うな)りが伝わってきます。
自宅は山中の傾斜地にあり、土手の中腹からは滝のように雨水が溢れ出ています。
明け方まで、土砂災害などの危険地域ハザードマップに目を通し、万が一の事態に備えました。

早朝に屋外を見て回ると、池も側溝も大量の雨水が暴れています。
早々に市役所に行く準備をしながら、妻に言いました。
「家の周りをよく見て、危険と思ったときは避難するんだぞ」
「心配ご無用。そんなことより、石岡市全体の安全を考えて!」
その声にうなずき、私は車に乗り込みました。

豪雨の中で、道路は川面のように見え、側溝は激流と化していました。
午前10時5分、災害対策本部を設置し、ほどなく土砂災害警戒区域に避難勧告を出し、18カ所の避難所を開きました。
さらに、冠水の予想される地区への交差点には、都市建設部が三角コーンなどを設置し、危険回避の作業を進めていました。

災害対策本部が把握した被害状況は、道路冠水33カ所、土砂崩れ13カ所、避難者24人、床上浸水7棟、床下浸水42棟、総雨量278ミリという大変な状況でした。

また、10月13 日に上陸した台風19号の被害は、土砂流出3カ所に留まり、18号とは様相が異なりました。
被害に遭われた皆様には、心からお見舞い申し上げるとともに、今後の防災対策に最善の努力を重ねてまいります。
 
18号・19号の台風が去った翌日に、私は冠水被害の著しい地区と崖崩れのあった複数のお宅を訪問しました。限られた時間の中で大変心苦しかったのですが、被害にあった方の心中を察すると、お見舞いを言わずにはいられませんでした。

台風18号の影響で道路の法面が崩落した片野地区
▲台風18号の影響で道路の法面が崩落した片野地区

「すごい雨音と洪水が怖くて、生きた心地がしませんでした。2日とも近くの公民館に避難したんですよ」と振り返る一人暮らしの女性の家は畳が上げられ、浸水の爪跡が明らかでした。
「18号の豪雨で、この土砂崩れですから、今夜は避難します」と崩れた崖を見上げる男性の屋敷は、土砂が物置を押し倒し手が付けられない有様でした。

二つの大型台風の直撃を受けて、多くの被害がありました。災害対応についても、いくつかの教訓があり、反省点もありました。
災害対策本部が解散し、家に戻ると、庭いっぱいにコスモスが咲いていることに気づきました。台風に耐えて咲いた花です。
その根元では、子猫のウメ吉が気持ち良さそうに花とじゃれていました。

文・写真 今泉 文彦

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  • 【更新日】2014年3月11日
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