市長日記 風土記の丘に咲く桜(広報いしおか4月1日号)
3月7日(木) 風土記の丘に咲く桜
わが家の桜は多少変わっていて、1本が11月に早咲きし、もう1本は5月半ばに咲きます。その2本は入り口の両側にあり、さらに道路を挟んだ正面の傾斜地には山桜があり、3本それぞれに目を楽しませてくれます。
愛着ある桜たちですが、早咲きがシキザクラで、5月に咲くのがシロタエ、そして傾斜地はヤマザクラだと教えられています。
なんといってもこれからの時期、常陸風土記の丘の桜が見事で、ソメイヨシノ~シダレザクラ~ボタンザクラの桜リレーが1ヵ月楽しめます。3月現在で、茨城県内のお花見ランキング1位になっています。
常陸風土記の丘の名前は、ご存知のとおり常陸国風土記にちなんだものです。風土記は地方の歴史や文物を記した奈良時代の地誌で現代に伝わるものは全国に5か所しかなく、常陸国風土記は1300年前の茨城県エリアの諸相を記した貴重な文献です。
関東では唯一の存在で、その編纂地が石岡小の一角であると推定されています。県内には利根川図志や新編常陸国誌などがあり、石岡にも府中雑記や常府古跡案内しるべなどいくつもの地誌があります。さらには神皇正統記や水戸の大日本史など、広義で捉えると興味深い地誌が身近にあります。
その中でも、常陸国風土記は茨城県民の原点です。歴史の風雪に耐えて現在まで伝わっている貴重な風土記ですから、地誌の聖典として大切にしたいものです。
風土記の丘の桜から連想が広がりましたが、なんといっても地誌よりサクラで、あの降り注ぐような枝垂れ桜の花ビラのカーテンの下を歩いてみたいと思うのは、私だけではないでしょう。
文 今泉文彦