11月2日(土)
読書の秋にふと思う
図書館130周年記念事業の一つに、直木賞作家の出久根達郎さんの講演があり、その前座として出久根先生と私の読書談議が30分ほどありました。話術巧みな先生は魔法のように誘導して、私の読書遍歴を引き出します。
「小学3年生のとき、図書館で猿飛佐助全集を借りて、読む楽しみを知りました」
先生の問いかけは、私の記憶の奥から意外な事実を引き出します。小学4年生になると2か月ごとに配本される、小学館の日本大百科事典を、貪るように1ページから最後のページまでを読みました。全18巻の大冊は、私の好奇心を大いに刺激しました。
「中学生になると、星空に興味があったせいかSF(空想科学小説)を読み耽りました」
なるほど面白い!と先生はさらに持ち上げてきます。
「これが高校2年生の時の読書ノートです」
当時1日13冊読んだ記録があり、相当オタクな本の虫でした。読書が一定量を超えると創作欲が湧き、小説など創作活動が始まりました。と、ここまでが先生に話した部分で、なるほど聞き上手とは凄いものだと感心しました。
記念事業で印象に残ったのは中学生のビブリオバトルで、本の紹介を聞き一番読みたいと思った本に投票するゲームです。市内中学校の代表は、次の本を携えてハイレベルな書評合戦を展開しました。
「昔話法廷」…石川菜々 (石岡中)・仲居凛栞(園部中)
「ぼくは、アニマルトレーナー」…中島碧生(府中中)
「そして、バトンは渡された」… 和島旺生(国府中)
「告白」…小松﨑彩 (八郷中)
中学生のレベルをはるかに越えた語り口の魅力あふれる発表に、若いうちの読書は、豊かな感受性と表現力、論理性を育てることを目の当たりにしたひとときでした。
文・今泉文彦