8月5日(月)
陸前浜街道の歩み
陸前浜街道は、明治初期、国道6号に政府がつけた名称で、今でも年配者がその名を口にすることがあります。
これが大きく様変わりしたのは昭和30年以降でした。それまでは、東京方面から幸町~守木・中町・香丸の目抜き通りを経て泉町へ直角に曲がり、一里塚を過ぎた杉並街道が水戸方面へ向かう国道でした。市街地は車社会の進展につれ、渋滞が慢性化し、交通事故も多発するようになり、広く真直ぐな国道が必要となりました。
それが今の国道6号で、完成当時は「こんなに広い道路が必要なの」と首を傾げる人が多くいました。
新国道整備に際し、府中六井の一つ「室ヶ井」が消えていきました。千年もの間地域で崇められてきた聖なる泉ですから、地元の関係者が井戸供養を催し、消滅を惜しみました。
今残るのは杉の井と小目井と石井で、前の二つは現在は涸れ井戸だそうです。水が出るのは若宮にある「石井」だけで、そこにはある古歌が残っています。
~涼しさに 千歳をかけて契るかな 石井の水の清き流れに~
ちょうど今日は6号バイパス中央要望で、石井啓一国土交通大臣にこの古歌をプレゼントすることを思いつきました。
大臣室で市議会の池田議長や菱沼副議長と共に、石井大臣に要望内容を説明し終え、私は言いました。「石井大臣、石岡に古くからある名泉に伝わる古歌をプレゼントします」
用意していた紙を手渡すと、大臣の端正な顔が満面の笑みに変わりました。
「良かったね、石井の古歌。来年のバイパス予算アップかも」同席してくれた地元国会議員の先生たちが、楽しそうに見送ってくれました。
文・今泉文彦