5月29,30日の両日,市は移築先の試掘調査を実施しました。その場所は,今でこそ市民会館の駐車場になっていますが,かつては常陸国府や府中城の範囲内だったとされる場所です。
10メートル×2メートルの範囲でトレンチ(調査用の溝)を設定して調査を行ったところ,江戸時代以前の土坑や溝などが確認されました。
▲試掘の様子 | ▲出土したすり鉢ほか(江戸期) |
この場合に取るべき方法は2つ。「保護層」と呼ぶ土の層を設けて遺跡を保護するか,本格的な発掘調査を行って記録を残し,遺跡は破壊するかです。もちろん,好ましいのは遺跡を破壊せずに後世へと伝えること。市の選択は当然,前者でした。
今回遺跡が確認されたのは,地表から約60cmの深さ。ここに陣屋門を建てようとする場合,陣屋門の基礎杭と遺跡との間に30cmの「保護層」(遺跡に影響を及ばさないための土の層)を設けなければなりません。陣屋門の基礎杭は70cmの深さが必要ですので,結果,陣屋門は地表より50cmほど高くしなければならないことになりました。
移築後は,皆さんに自由に門をくぐっていただく予定ですので,前面には階段,背面にはスロープを設けることとしました。なお,本来ならユニバーサル・デザインにも配慮すべきところですが,門の「蹴放し」と呼ばれる部分に設けるスロープがどうしても急傾斜になるため,断念せざるを得ませんでした。