今回は,陣屋門の部材修復に当たっている現場をご紹介します。
陣屋門には,ケヤキが多く用いられています。ケヤキは木目が美しく,材質的にも強い木材ですが,文政11年(1828)の建築以来,約185年を経過した部材にはかなりの傷みが出ています。
今回の修復では,元の部材を可能な限り使用するため,部材自体の修理を行っています。写真にご覧いただくとおり,亀裂が入った部分に木材をはめ込んで楔を入れたり,大きく欠損した部分には木材を継いだりしています。
ある部材そのものを交換する場合は,すでに解体された古い建築物の木材を転用するなど,できるだけ陣屋門の時代性を損なわない工夫をしています。新しいケヤキは乾燥するまで長い時間がかかることから,古材を用いることには,乾燥中に生じる歪みの発生を避けるメリットもあります。部分によって新しい木材を用いるケースもありますが,この場合は,歪みを矯正しながら部材を仕上げていきます。
|
▲欠損していた部分の修復や復元 |
▲細かい部分の修復。美しいまでの繊細さ |