”寄物(よりもの)”というモノ、コトバをご存じですか?
それは、浜辺に漂着する物、海岸に流れ着いた石や貝殻、陶器にガラスのこと。
村上ハルナさんは、この寄物や流木、林の中で拾った木の枝、漆や動物の角など、自ら集めた多くの素材と金属造形とを組み合わせてオブジェや装身具を制作する造形作家・ジュエリーデザイナー。筑波大学および同大学院で漆芸を学び、その技術をベースに制作しながら全国各地のギャラリーやライフスタイルショップ等で個展や企画展を開催して作品を発表しています。
夫の彰(あきら)さんは同大学で環境デザインを学び、国宝・重要文化財等の建築物・美術工芸品の保存修理を手掛ける企業で働いた後、現在は美術教員として教鞭をとられています。
この家を愛し、ここで暮らしていた人の思いを受け継ぐ。そんな村上さんファミリーの移住ストーリーです。
今回は、この企画初の小学生インタビュイーさんとして、長女のなつめちゃんと長男の楷(かい)くんも同席してくれました!(愛猫くらげちゃんも🐱)

なつめちゃん、楷くん、ハルナさん、彰さん。 と、くらげちゃん🐱
いまの住まい この家に移り住んで約10年。入居時にキッチンをリフォームしたこと以外は、ほとんど手を加えていません。間取りも譲り受けた当時のままです。
この家は約25年前に陶芸家の方が住居兼工房として建てたもの。工房は土地の傾斜を活かした地下にあり、この工房があったことが購入に踏み切った決め手となりました。
この家を建てたその陶芸家の方は、この家に深い思い入れがおありで、次に住まう人には長く住んで欲しい、できれば子育て世代の人に…という望みをお持ちでいらしたとお聞きしました。
私たちが入居した後、その方にこの地で一度お会いしたことがあるのですが、4人家族となったばかりの私たちが入居したことをお知りになって、とても喜んでくださいました。
このようなとても立派で素敵な住まいを建ててくださったことに、私たちもとても感謝しています。
私(ハルナさん)は 埼玉県出身、新興住宅地で育ち、大学進学でつくば市へ転居しました。大学と大学院では最終的に漆芸を専攻しましたが、入学時に選択したコース(当時のクラフト専攻)は漆・木工、陶芸、ガラスなどの様々な素材を取り扱うことができるコースだったので、いろんな素材を実際に手にすることができてとても楽しかったです。卒業後は大学に残り非常勤研究員として勤務しました。そこではポスター制作などを多く手掛けていたので、デザインをはじめ、PCを用いたイラスト描写や画像編集のスキルを習得しました。こういった経験が現在の制作活動に大いに役立っています。
アクセサリー制作を始めたのは大学院を卒業してからのこと。”寄物”を活用しようと考えたわけではなく、まずアクセサリーを作ってみよう、という考えありきでした。その流れの中で、”そういえば大洗海岸に良さそうな小石があったよね”と思いついたのです。宝飾品の素材である宝石も”石”、大洗海岸で拾うのも同じ”石”。同一のものなのだから、使えるはずだよね?と発想しました。大洗海岸はビーチコーミング(※)で有名なところで、シーグラスをはじめ、多種多様でアクセサリーづくりに適した小型で丸形の石が採取できる珍しい場所。学生の頃から遊びに行っていたあの大洗海岸が、ビーチコーミングの聖地と知ったのは後々のことでした。
セッティング(石座)の素材は主にシルバー、銀です。制作活動に必要となる素材、例えば金の価格は右肩上がりで高騰していますし、金と比較すれば安価であった銀も、以前と比較すると5倍ほど値上がりしています。漆はといえば、国産漆の流通量は少ないので中国原産をはじめとした輸入漆で制作しています。漆の木が少なくなっていることに加え、漆掻き手の後継者問題、人材不足の影響です。芸術分野や制作活動も、こういった様々な情勢に影響を受けることになりますが、自然界と上手にお付き合いしながら無理なく活動していきたいと思っています。最近は海だけでなく森の中の素材、木の枝を使ったオブジェも制作し始めました。
本格的に制作活動を始めたのは子育てとのバランスが取りやすくなった頃、子どもたちの幼稚園入園後のことで、ここ3~4年くらいです。小学生になったいまは時間にも余裕が出てきましたし、お仕事は在宅で行えますので、ライフワークバランスはとても良好に保つことができています。
※ビーチコーミング 海岸に打ち上げられた貝殻や流木、シーグラスなどの漂流物を
観察しながら拾い集めて楽しむ自然体験・レジャー活動
僕(彰さん)は 栃木県日光市出身。この八郷地区ほどではないけれど自然には恵まれている環境で育ち、やはり大学進学のためにつくば市へ転居しました。大学では環境デザインを専攻し、ランドスケープ、都市計画などのデザインを学んでいました。卒業後は都内にある国宝・重要文化財等の建築物・美術工芸品の保存修理を手掛ける企業で働いていました。しばらく勤務を続けたものの、どうしても教員になりたくてつくばに戻り、教員になった後に結婚しました。
今は高等学校で美術教員として勤務しています。石岡に移り住んでからは勤務先も近くなり、通勤時間も30分~40分程度なので、特に子どもたちが小さく手のかかっていた時期は子育てにも積極的に協力できました。

ハルナさんが制作したアクセサリー

ハルナさんの作品
「情景的なかたち」をコンセプトにしたオブジェたち

ハルナさんの金継ぎ(左側)、螺鈿(右上)、右下の模様はウズラの卵殻

彰さんの作品
”境界”をイメージして制作した乾漆作品
村上さんのお宅に伺ってリビングに案内されたと同時に、”うわ~”と感嘆の声をあげてしまいました。
リビングにある大きな窓が切り取っていた風景が、あまりにも素晴らしかったからです。大きな筑波山、盛夏の陽を浴びて緑濃く生い茂る森林と目前に広がる水田が、本当に、まるで絵画のように、そこにありました。
そんな素敵なお住まいに、夏休みに入って間もない貴重な休日にお邪魔した私たちを、なつめちゃんも楷くんもくらげちゃんもみんなフレンドリーに迎え入れてくれ、ルームツアーのガイドもしてくれました。終始和気あいあい、色んなお話しを聞かせてくれて、どうもありがとう!
お話しの続きは後編で!
村上ハルナさんのInstagram ”HARUMURA”
https://www.instagram.com/harumura_accessory/