十一面観音は頭部に十一の顔をあらわしている観音の一つで、古くから信仰されています。
寄木造で像高141cm、制作年代は鎌倉時代と思われます。また、近年この仏像の修理が行われましたが、その際、慶長16年(1611)と明治17年(1884)にも修理が行われていることが判明しました。特に注目されるのは慶長16年の修理が、六郷政乗の孫である六郷政慶の命により行われていたことです。出羽国の出身である六郷氏は佐竹氏と入れ替わりで府中に入りましたが、その後すぐに出羽国に戻ってしまい、石岡市内ではあまり記録が残っていません。六郷氏の石岡市内での足跡をたどる貴重な資料と言えます。
また、この十一面観音は、旧若松町内に存在した長峰寺にあったものと伝えられています。